この世界の冒険者達の前に幾度として立ちはだかった巨大な壁、神鳥レティス。優雅な姿からは想像もつかないほどの恐ろしい実力を隠し持ち、お嬢すらも躊躇せずに襲い掛かる様はまさに鬼神ようである。その美しいツメを一度振るえば最高の強度を誇るメタルすらもズタズタに引き裂き、高らかな雄たけびから巻き起こる稲妻はこの世の全てを焼き尽くし、体からほとばしる気高き波動はお嬢のテンションを下げるだけでなく、プレイヤーにも多大な絶望と怒りとストレスを与えるという、とんでもない怪物なのである!
このあまりにも絶対的な力の差を見せ付けられてしまったが、お嬢は決して諦めない。お嬢の頭の中には、諦めるなんて言葉は残念ながら収められていないのである!ほんと残念だ!まったく、プレイヤー泣かせな女の子だぜ!

っていう予告編を作ってみた。うん、まさに今のお嬢の心境にぴったりな出来じゃないか。こう敗戦続きだと、負けることが当たり前になって何とも思わなくなるね。これは一種の感覚麻痺といえるんじゃないかなぁ。

私がこの記録を残している間に、お嬢はレティスと70回くらい拳を交えている。正確には一方的に殴られっぱなしだけど。
ある程度は覚悟していたとはいえ、やっぱりレティスは強い。もう馬鹿みたく強い。ハッキリ言ってキャプテン戦が霞んでしまう位強い。

大体頼みの綱が身かわしの服とレティスがライデインかまばゆい光を使ってくるのを祈る、っていう自体頭悪すぎる。最初の頃はノリと勢いで撃破しようかと思っていたが、こうも負け続けると頭も冷静になってしまうね。
だけど一度決めたルールをそう簡単に変えるのも許せない。何とかこの条件で乗り切りたいものだ。

ただ一つ救いなのが、現場までの距離が近いことと一回一回の戦闘時間が短いことだね。これは本当に助かったよ。運がかなりの比重を占める戦闘となると、どうしても精神的にくるものがあるからね。

さて、こんな一方的に虐められているお嬢であるが、いつまでもこうなっているわけではない。当然何度も挑めば、勝利の女神がお嬢の味方をしてくれる時だってあるのです。そして、今がその時だったりするのです!とうとう…とうとうお嬢がテンションを3回ためることに成功しました。今回はわしづかみを回避して、ライデインやまばゆい光ばかりを使うというラッキーな展開で進んでいきました。
今お嬢が最後のトドメとなるマダンテを詠唱中である。レティスも今までとは違うお嬢の雰囲気に戸惑いを隠せない様子だ。そりゃそうさ、まさか今からたった一撃で自分が葬られるなんて想像も出来ないだろうからね。

さぁお嬢!今までの悔しさを全部そのマダンテでぶつけてやろうじゃないか!殺っちゃってください!


1784の ダメージを あたえた!!!





あれ?

…あれあれ?

1784ダメージ?

ええっと…確かレティスさんのHPって…




1785でしたよね?

ええっと…それはつまり…





1足りないから僕は倒れませんよ〜ってことですか?



そっか〜だからレティスはまだ僕の目の前で立ってるんだね〜。そっか〜。

いやーしかしあれですね。人間あまりにも予想外なことが起きると恐ろしいくらい冷静になるものですね。もうなんでこんな事態になってしまったのか頭が記憶を読み漁ってますもん。

そして一つのミスを思い出しました。

完璧にここまで旅をこなしていれば、このレベルで無事倒せるはずだったのです。ですが、私は一つだけミスをしちゃったんですね〜。
不思議の種を使う時に数回、最大値まで上がってないのにも関わらずそれで妥協してしまったんですよ。どうせMPなんて腐るほどあるから大したこと無いだろうと。そのつけが、今、まさに、こんな、とんでもないところでまわってくるとは!

フ…フフ…なんていうか、オレの人生ってネタに困らないようにできてるんだね…。世の中ってすっばらしぃ。

まぁドルマゲスの雄たけび事件を体験したオレからすれば、こんなものはベギラマ並にダメージの少ない事件である。軽く1週間くらい宿屋で休めば完治するから大丈夫さ。

と、思っていたのにお嬢がそれを許さず結局レティス狩りへと向かわされましたまる

その後も相も変わらない激闘は続きます。何かが吹っ切れた私は、何が何でもこのレベルで撃破することを決意。そうなってくると、最後1Pの壁が残されているわけですがここは相手の攻撃を利用しましょう。光のドレスを着用し、相手のライデインをうまいこと反射しちゃおうギャハハ!という何とも懐かしい作戦を立てました。
はたから見れば、ただでさえ成功率の低い作戦を更に下げるなんて常軌を逸していると思うかもしれませんが、この時はもう既に何かが足りなくなっていたので無問題です。もう脳内麻薬がバンバン放出され、一種のトランス状態ともいえるところまできていたのです。

恐れを感じなくなった人間は無敵です。まずは相手のライデインを跳ね返すまで光のドレスを装着。無事跳ね返すことに成功したらすかさず身かわしに着替えるという戦隊ヒーロー顔負けの早業です。多分お嬢が戦隊ものに加わることがあれば、間違いなく赤です。ピンクなんて素人が好みそうなポジションはいらないのだ。

光のドレスが反射してくれる確率は思っていたよりも高く、5回に一回は成功していた感じがします。

そんな破天荒な攻防を繰り返すこと169回、ようやく、今度こそレティスに引導を渡すことが出来ました。

なんていうか…もう…感動して…

感動して涙すらでません。

…あれ、これは感動してないということか?

何だかこの書を書いているうちに、段々あの時の心境が蘇えってきてブルーな気持ちになってきた。

こんなところまで影響を及ぼすとは、神鳥恐るべし!

あーぁー、あいつがただの魔物だったら




メラゾーマで焼き鳥にしてやるところだったのに

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